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プロジェクトマネジメント全般に関するコラム

第11回:実感のない好景気の中、経営者報酬は増えている!?

 

 

今、介護保険の不正請求問題で“モラル”を問われている某経営者は、6/11に退任するまで経団連の理事でした。理事に選出された、ということは、経団連のメンバーから人物(高い“モラル”の持ち主)として評価されたから、なのだと思われます。

 

ところが、実際にはかなり違う実態だったように報道されています。

 

年間の役員報酬が6,000万円のその経営者と、ノルマノルマで締め付けを受けている年収240万円の介護ヘルパー、という構造も明らかにされました。

 

営利企業として事業を行う以上、“社会貢献”や“思い入れ”だけでは成り立たず、企業としての利潤の追求が存在することは、当たり前なのだと思います。が、今回の事件の背景にあるものは、“企業としての利潤追求”、というより、“経営者個人の利潤追求”に思えてしまうことも、これだけ大きな社会からの批判を受けている理由なのではないでしょうか。

 

日経BP社が運営している情報サイト「SAFETY JAPAN」に、森永卓郎さんが書かれている人気コラム「構造改革をどう生きるか?~成果主義・拝金主義を疑え!~」があります。いつも面白く読ませていただいているのですが、2007年1月29日に公開された「第67回 ホワイトカラー・エグゼンプション、導入の動きは消えていない」の中に、興味深いデータが提示されていました。

 

2002年1月から現在まで景気回復が続いており、その長さは既に戦後最長を言われていた「いざなぎ景気」(1965年11月~)の47ヶ月を超えています。しかし、我々には“好景気”の実感があまりありません。

何故、そんなことになっているのか?

森本さんは、以下のように解説しています。

 

『日本では2002年1月から景気回復が始まり、名目GDPが14兆円増える一方、雇用者報酬は5兆円減った。だが、大企業の役員報酬は1人当たり5年間で84%も増えている。また、株主への配当は2.6倍になっている。

 

ということは、パイが増える中で、人件費を抑制して、株主と大企業の役員だけが手取りを増やしたのだ。』

 

景気回復のデータが示す通り、企業の業績は全体としては少しずつ良くなっているのだと思います。そして、その業績の回復により増加した利益は、役員報酬と株主配当に分配され、雇用者には回っていない。それどころか雇用者報酬の総額はむしろ減っている、というのです。

 

この情報を聞くと、一般に「好景気の実感が無い」のは当たり前のこと、ですよね。

 

「利益をどう分配するのか」は経営者の経営判断です。会社に一定のルールが存在するケースもあるでしょうし、労働組合が意見するケースもあるでしょう。 それでも、最終的な判断は経営者が行うものです。企業買収に備えて株価を維持するために配当を厚めにすることも、事業拡大の好期を捕らえて設備投資や研究開発費に多くを回す必要があるタイミングもあります。

 

その判断は、経営者一流の「市場動向や時代の流れを読む」判断力と決断力、そして高い“モラル”によって行われるもの、のはずです。

 

ところが、この数年間の企業経営者の判断は「雇用者報酬を減らし、自分の報酬を85%アップさせる」ことだったのです。

 

前回のコラムで「経営者の“資格・資質”」について考えてみました。

経営者としての“資格・資質”が無いのに、経営者になっている人が居るのでは、と問題を提起しました。

が、どうも実態は、「今の経営者には“資格”だけでなく、“モラル”さえ無い」ということのなのかもしれません。

もちろん、高い見識と決断力そして高いモラルを持ち合わせた優秀な経営者も多く居られると思います。しかし、残念ながらそうでない経営者が相当居られることも事実なのでしょう。

 

冒頭の某経営者の例のように、“モラル”の低さを見抜くのが容易でないことも、問題を複雑にしていまっているようです。

 

 

 

 

 

 

 

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